(完)嘘で溢れた恋に涙する

「とりあえず、ここ出よう」


陸玖はそう言って、私の手を引き廃工場を出た。


おとなしく従ったけど、自分から何か話しかけることはできなかった。


聞きたいことはいくつもあったが、陸玖の歩みに身を任せていた。


しばらく歩くと、その廃工場が浜辺の近くにあったことに気づいた。


来た時はそこがどこかなんてどうだってよかったから、あまり気にもしてなかったから気づかなかったのだ。


しかも海の近くというだけではなく、


「島だ」


思わず呟いていた。


「そう。ここ港のすぐ近くだったんだよ」


陸玖もそう言って私の独り言に頷いてくれた。


浜辺の向こうには小さく私たちの島が見えたのだ。


「由姫はここに座ってて。俺そこの自販機で何か飲み物買ってくるから」


しばらく歩き、浜辺に降りるための階段を見つけると、陸玖はそれを指さして私に待つように指示してきた。


だけど私は無意識のうちに手をつないでくれていた方の陸玖の腕にしがみついて首を振っていた。


「やだっ!一人にしないで」


数秒後に正気に戻ったとき、そんな自分の行動を何様だと笑ってやりたくなったがその時は本当に衝動的な行動だった。


だけど陸玖はそんな私を鬱陶しがるどころか、しがみついて離れようとしない私をさっきのように強く抱きしめた。


「ごめん、由姫。
俺お前のこと守るどころか危険な目に合わせた。

あいつら大会の時の俺のせいでお前のこと知ったんだろ?

俺のせいだ。本当にごめん」


陸玖は静かに涙を流していた。


綺麗で透き通った涙だった。


「なんで陸玖が私なんかのために泣いてるの?」


思わずそう呟いてしまう自分がいた。


でも私の心の中にあったのはそれだけだった。