(完)嘘で溢れた恋に涙する

「2人とも大丈夫か?城島は随分殴られているようだが」


力武さんが近づいてきて陸玖の背中をまじまじと見ながらそう言ってハッとする。


そうだ。


陸玖は私の盾となって守ってくれたんだ。


「陸玖、体っ」


抱きしめられたままで思わずそう叫ぶと、陸玖は何も言わずにその腕に力を込めた。


「気にすんな。俺は平気だ」


そう言って、陸玖は私から離れ、力武さんの方に深々と頭を下げた。


「ありがとう。お前のおかげで助かった。
お前がきてくれていなかったらたぶん由姫を酷い目に合わせてた。
本当にありがとう」


力武さんは陸玖の顔を無理やり上げて豪快に笑った。


「気にするな。借りを返しただけだ」


そして私の方を向き直して会釈をしてくれた。


「はじめまして。俺は城島と同じクラスの力武真という。怖い思いをしただろう。大丈夫か?」


まるで戦国時代の武将のようなどしっとした雰囲気に飲み込まれそうになりながらも私も頭を下げた。


「坂井由姫といいます。今回は助けてもらってありがとうございました」


「いやいや、気にしないでくれ。
たぶんあいつらはもう何もしてこないと思うが、また何かされたら遠慮なく俺に言ってくれ」


頷きながらも、どうしてこの人はあんなにあの連中を恐れおののかせたんだろうと不思議に思っていると、陸玖がそれに答えるように紹介してくれた。


「力武は、中学の時荒れ狂って手がつけられなかったっていう南中っていう中学をまとめ上げて、他の学校のチンピラたちも退治したっていう伝説を持ってるらしくて。
ああいう輩には警察よりも力武の方が効くと思って頼んだんだ」


なるほど。


最近流行っていたツッパリもののドラマみたいな話だ。私は見ていないけど。


確かに警察が来てもあのままじゃ大した罪にならずに済んだろうし、何よりいろんな人に迷惑をかけることになってしまっていたはず。


それよりもそんな恐ろしい男から脅されたら、素直に聞くだろうという陸玖の判断は正解だと思うし、感謝しかない。


もう一度力武さんにもお礼を言うと、彼は微笑みながら言った。


「礼なら城島に言ってくれ。
俺は城島に頼まれたから動いただけだ。
こいつじゃなかったらこんなことやっていない。

こいつは、見た目がこれでああいう噂もあっった俺を怖がることなく、普通に接してくれた。

城島は人の見た目や噂に惑わされない素晴らしい男だ。
俺が保証する」


陸玖は何も言わずにそれを聞き流していたが、私は思わず強く頷いてしまった。


「わかってます。陸玖は本当にいい人です」


「そうか。やはりわかってたか。それじゃあいいんだ。
じゃあ俺はここらで失礼する」


力武さんは私の言葉に嬉しそうに頷くと、颯爽とその場を去って行ってしまった。


もう少し話をしたかったと、名残惜しい気持ちもあったが、私たちに気を使ってくれたんだろうと諦めた。


さあ、これから陸玖と2人だ。


陸玖はどうするつもりだろう。


私はどうすればいいだろう。