(完)嘘で溢れた恋に涙する

その通りだ。


なんで陸玖はここに来たの?


私を抱きしめるの?


守ってくれるの?




また私をあの時のように地の底に突き落とすため?




陸玖が大きく息を吸い、吐き出すのがわかる。


陸玖は今何を思ってるの。


ゆっくりと陸玖は話し出した。


私はその言葉を正直聞きたくなかった。


もう傷つきたくなかったのだ。


それでも頭上から降ってくるその言葉に耳をすませた。



「確かにお前らはわからないだろうなあ。
家族の仇のこいつを守る俺が。

確かに由姫のことは憎いよ。
それはきっと一生変わらない。


それでもお前らみたいなクズに由姫を傷つけられて黙ってるわけねえだろ」


静かで、でも湧き出すような怒りを含んだその言葉に奴らは怒り狂い、暴力に走った。


陸玖は一瞬で体の向きを変え、その背中から強い振動を感じた。


殴られたんだ。


「もういいよ、陸玖。なんで私なんかのために陸玖が殴られるの!?やめてよ」


思わず叫んでいた。


必死でその大きな体の中から抜け出そうとした。


今ならまだ間に合う。


あいつらが狙っていたのは元々私なんだから、きっと頼めば陸玖のことは放っといてくれる。


私さえ大人しくしとけばうまくいく。


「文句は後からいくらでも聞くから由姫は黙ってろ」


そう言って陸玖は奴らを挑発するように叫んだ。


「だいたいお前ら由姫の苦しみも、俺の苦しみも何にも知らないくせに偉そうな口聞いてんじゃねえよ!!
お前らごときが事件のことを語るな!!
お前らごときが由姫に手を出そうとしてんじゃねえよ!!」


気づけば涙が出ていた。


ああ、私は本物のバカだ。


陸玖がこんなこと本当に考えてくれるはずないのに、きっとまた私に絶望を味あわせるためなのに、陸玖が私の名前をこうやって呼んでくれて、守ってくれるだけで嬉しくて仕方ないんだ。


時間が止まればいいのに。


このまま時が止まってしまえば、私はいつまでも陸玖と一緒にいれるのに。


陸玖の言葉に激しく怒り始めた奴らが陸玖を殴り始めたみたいで、陸玖の体は強く揺れ始めた。


もういいよ、陸玖。


ここまでしなくったって私はちゃんと陸玖に騙されるから。


もうやめてよ。


「やめてよ…陸玖」


呟いた時、強い金属音がどこかから聞こえた。



周辺からざわめきが聞こえる。


何があったの。


状況が知りたくて、顔を出したいが陸玖がそうさせてくれない。


「急に呼び出して悪かった」


突然陸玖が誰かに向かって喋りかけた。


「構わない。お前には借りがあるからな」


低い声で返事が返ってきて、ますます状況が知りたくてうずうずする。