(完)嘘で溢れた恋に涙する

だけど母さんと海央の死はまだ地獄の序章でしかなかった。



目を覚ました後、俺は2人の死の全貌を知ることとなった。


母さんと海央は映画を観終わり、映画館から少し離れた第二駐車場に停めた車の元へ徒歩で向かっていたらしい。


すでに時刻は8時を回っていて辺りは真っ暗だっただろう。


2人は手を繋ぎ、人気のない道路の横断歩道を渡っている際、猛スピードの車にはねられた。



のだろうというのが現場検証を行った警察の見解だった。


まだそれが事実かどうかはわからなかった。



2人を引いたと思われる車を運転していた人物は人を見殺しにして現場を離れていたからだ。


つまりひき逃げだ。



周りに事故を見ていた人もおらず、救急車を呼んでくれた人はその後そこを車で通りかかった人だった。



母さんと海央が信号無視なんかするはずがない。


俺は6年生になってまで、母さんには口うるさく横断歩道を渡るときは右を見て、左を見てから渡りなさいと言われてたくらいなんだから。



だとしたら、2人を轢き殺した犯人は自分が全面的に悪いにもかかわらず未だに逃げ回っているのだ。



悔しい。



全身から怒りが込み上げて、その怒りをどこにぶつければいいのかわからなかった。



なにせ犯人の正体がまだわからないのだから。



どうして逃げるなんてことができるんだ。



人を2人も殺しておいて、どうして平気で逃げられるんだよ。