(完)嘘で溢れた恋に涙する

側にいた看護師が辛そうに目を伏せた時、嫌な予感がよぎった。


その予感は見事に的中し、優也のお父さんと俺は隣の部屋に案内されて、そこですでに冷たくなったしまった母さんと再会した。


顔に血色がなく、傷だらけだった。


よろけながらそんな母さんに近づいた。


「母さん…」


呆然としながら問いかけるが、返事は返ってこない。


「ねえ、母さんってば。もう目開けてよ。海央が死んじゃったんだ」



「母さん!!!」


意識も途切れ途切れになりながら、必死にその名前は呼びかける。


だけど、母さんは目を覚まさない。


「ここに運ばれてきた時にはすでにもう…」


看護師が淡々とそう語る言葉が、遠くで聞こえた。


父さんも、母さんも、海央も死んでしまった。


俺はこんなに広い世界でこの先ずっと1人ぼっちだ。



「うわあああああああああああ」



頭を抱えて座り込み絶叫した。


突然自分に降りかかった不幸は少年だった俺にとってあまりにも残酷すぎた。


俺はそこで一旦気を失い、次に意識を取り戻したのは夜が開けてからだった。