(完)嘘で溢れた恋に涙する

私は坂井由姫。
中学3年生。


この夏、この新天地に引っ越してきた。


引っ越してきたとはいっても、理由があって今まで数回転校を繰り返してきたからもうあまり緊張はない。



自分がこれから新しく生活を送っていく場所を冷静に評価できるくらいの余裕はある。


今日初めて家から学校まで歩いてざっとこの街を見て回ったが、一言で表現しろと言われたら、オブラートに包めば、自然に溢れた場所。


率直に言えば、ど田舎。



本土から離れたこの島にあるのは山と川と田畑だけだ。


ショッピングセンターも、おしゃれなカフェもコンビニすらない。


こんな田舎、映画や漫画で見たことしかないし、実際にあるんだなってシンプルに驚いた。


生まれたときからずっと都会暮らしの私にとって、正直ここでの生活は不安でいっぱいだ。