(完)嘘で溢れた恋に涙する

溢れ出そうな涙を懸命にこらえて、私は力なく笑って見せた。


これが私にとって運命だったのだとしたら、試練だったのだとしたら、


神様はどれほど意地悪なんだろう。


罪の意識を捨てて、自由になる気なんてさらさらないよ。


一生彼らと向き合っていくことが私に残された使命だって覚悟してる。


だけど、彼と出会いたくなんてなかった。


鏡を向かい合わせたように、対照的な私たちが出会って一体何を生むというのか。


ねえ、理玖。


この場所は私をほんの少しも歓迎してないはず。


出て行けって言ってるよ。


そう、そうやって、真実を教えればいいだけなのに、私は何も云えなかった。



矛盾してることはわかってる。


出会いたくなかったなんて心の底から思いながら、私はきっと、


きっと、私はこの日、



君と出会って、



君に恋した。