(完)嘘で溢れた恋に涙する

「先生に聞いたのね。全部」



その言葉を聞いた瞬間、やはりあの話に間違いはないのだとすんなりと理解した。



頷くと、お母さんは続けて言った。



「先生のことを責めたりはしていないから安心して。ごめんね。本当のこと教えなくて。もうこれ以上由姫に背負わせたくなかったの。
けど、それは私のエゴを押し付けてるだけよね。
もう何も隠さないから、聞きたいことがあったら何でも聞いて」



そう言って、お母さんのスマホを渡された。



渡されたからしばらくスマホ画面と向き合い、そして1つの文章を打ち込んだ。



『教室でハサミを持って暴れたって、警察に通報されてもおかしくないレベルだよね。どうして私は普通に入院生活を送っているの?』



お母さんは答えた。



「…初めは保護者の方々は警察に通報するって言い張ってた。
あんな恐ろしい子がいるクラスに通わせられますかって。
だけど、おじいちゃんとおばあちゃんがね、2人は地区会長みたいなものを長年やってきていてたくさんの人と親交を持っていたの。
だから2人が一軒一軒子供を持つ家庭を回って土下座までして謝ってくれて、そして頼んでくれたの。
どうか由姫にもう一度だけチャンスをくれませんかって。
あの子は本当は優しい子だからって。
何人かのクラスの子達も由姫ちゃんだけが悪いわけじゃないって言ってくれたらしくて。
あと…何より穂積さんの親御さんが保護者の皆さんにこう言ってくれたらしいの。
『結果的に誰も被害を受けているわけではないはずです。
凛花のことを心配してくださっているのなら、凛花に余計な心配をかけさせてしまった私の責任ですから、決して坂井さんのせいではありません。
家族の起こした事件のせいで、あんな小さい体でたくさんのバッシングを受けていてショックを受けないはずがありません。
あの子に罪はないんだから、許してあげましょう。
大人が寄ってたかって小学生をいじめるのは間違っている』
そのおかげで、警察沙汰にはならなかったの」



途中から涙が溢れて止まらなかった。



どうしてなんだろう。



おじいちゃんもおばあちゃんもこんな悪魔みたいな孫さっさと捨ててお母さんだけ取り戻せばいいだけなのに。



クラスメイトも悪いのは完全に私だ、かばう必要なんてどこにもないのに。



そして、何より自分の仕事を理不尽な理由で奪った憎らしいはずのお父さんの娘である私なんか罵倒して殴ったっておかしくないのに。



どうしてこんなに優しいんだろう。



こんなほとんど犯罪者に近い私をどうして救ってくれるんだろう。



悪いに決まってるこの私をどうして悪くないって、罪はないって言ってくれるんだろう。



私はあの人たちにどうやって償えばいいんだろう。



何ができるんだろう。



やはり私は死ぬしかないんじゃないか。