(完)嘘で溢れた恋に涙する

いつのまにか、膝が小刻みに揺れていて呼吸が乱れ始めた。



でも必死にそんな自分を落ち着けた。



この耳でしっかり聞いて、受け止めるんだ。



逃げちゃいけない。


だけど、



「由姫、何してるの?」



お母さんの冷たい声が背後から聞こえて、慌ててスマホを先生に返した。



何事もなかったように振り向くと、能面のような感情の読み取れない表情を浮かべたお母さんがいた。



「あ、お母様。こんにちは。由姫ちゃん、無事そうで安心しました」



先生が立ち上がり、お母さんに向かって頭を下げた。



「こんにちは。ありがとうございます」



表情を変えずにそう返事するお母さんに少しだけ恐怖を感じた。



気づいただろうか。



私が無理やり先生から聞き出したこと。



お母さんの表情から読み取ろうとしたが、お母さんは私に背を向けていてその表情は見えない。



「由姫、そこの売店で飲み物買ってきて。何でもいいから」



お母さんの後ろをウロウロしていると、強い口調でそう頼まれて財布を渡された。



聞かれたくない話をするんだろうなとわかったけど、断る理由はなく、大人しく少し奥にある売店へ向かった。