(完)嘘で溢れた恋に涙する

それを聞いたら1つの疑問が頭に浮かんだ。



だけどそれをお祖母ちゃんに率直に聞いていいものかと悩んだ。




まだその時点で一度も話していなかったから。




お父さんについて。




だけど、いつかはその話をしなくてはいけない。




そう思いなおして、思い切ってお祖母ちゃんに尋ねてみた。



「お母さんは、こんなにたくさんの人に好かれていたのに、なんで私のお父さんを選んだの?」




お祖母ちゃんはそれを聞いた時、俯いて悲しそうに目を伏せた。




やっぱり聞かなきゃよかった。




すぐに後悔した。




だけどお祖母ちゃんは言葉を1つ1つ選ぶようにして話し出した。




「全部私とお祖父ちゃんのせいなのよ
あの子が就職してしばらく経った頃に、急にあなたのお父さんを連れてこっちに帰ってきたの
頭脳明晰で、御曹司で、物腰の柔らかそうな彼のことを恋人だって紹介してくれて、本当に嬉しかった。
彼は予定があるからって泊まらずに帰って行って、その日の夜にあの子が相談してきたの
結婚してほしいって言われているって
私もお祖父ちゃんも浮き足立っちゃって、あの子の話もよく聞かずに、結婚するべきだって何度も言ってしまった
あの子は優しい子だから、
それまで私たちに逆らったことなんて一回もなかったし、
だからきっと私たちがそんなに推した彼との結婚を決めたの
全部私たちのせいよ
もっと彼のことをよく知って、あの子と話し合えばよかった
そうすればあんな男…」




途中で話している相手が私だということを忘れていたのだろう。




友達なんかに話すように、悔しさをにじませる声になっていた。




途中で話を聞く私をハッとしたように見て取り繕うようにこう言った。




「でも彼と結婚していなかったら、由姫ちゃんが生まれていないものね
由姫ちゃんに出会えたことが私は一番嬉しいのよ」




確かに私はお祖母ちゃんにとって、愛する娘の子どもだ。




だけど、それと同時に愛する娘を傷つけた男の娘でもある。