その男には見覚えがあったが、名前が思い出せなかった
「真希ちゃん!逃げて!」
その男を抑えているうちの一人の男が叫ぶ
「助けてよ。真希?」
みんなが真希の名前を呼び続ける代わりにひとり耳を塞ぐ真希の姿が視界に入る
「真希」
我慢出来なくなった俺は、真希の名前を呼びながら横にしゃがみこむ
「だれ?」
やっぱ、覚えてないか
俺は静かに笑うと
「こっちだ」
そう言って、立ち上がらせる