葬式当日

「ほら、あの子だよ」
「ああ、可愛そうだな。なんせ、彼氏が轢かれるのを目の前でみたんだろ?」
周りでは、こそこそ話が多く
それでも、私は何も感じなかった
「ホント、気の毒よねぇ」
でも、その場に居づらくなった私は会場から出た
「っ……」
嗚咽を漏らしながら、静かに泣いた
心の中に空いた大きな穴
それを今まで埋めていたのは隆二だった
「“二人が死を分かつその日まで”」