ようやくSテーブルを見つけ、プレートに十五番と書かれている席にたどり着いた。
すでに六人掛けの円形のテーブルに一人、男の人がスマホを弄りながら座っていた。

挨拶しようと近付くと、私に気付いたその人が顔を上げて目が合った瞬間、小さく声が漏れた。

「あっ」

向こうも気まずそうな表情になり、軽く頭を下げた。

たくさんテーブルがある中で、よりにもよってこの人と同じになるなんて……。
他のテーブルに視線を向けて心の中で文句を垂れた。
席を変更してもらいたいのは山々だけど、そんなワガママは言えなくて仕方なく椅子に座る。

絶対に今日はツイてない!
目の前には、私が高校時代に付き合っていた佐々木誠人が座っている。
外見があまり変わってなかったので顔を見て気付いた。

別れた理由が最低だったので、この人とは出来ることなら会いたくなかった。
付き合ったことが私の汚点だし。

茜とこの人の話をしたのが災いしたのかもしれない。
なにが何百人も来てたら会わないかも……よ!
そんな呑気なことを言った自分を呪いたい。
嫌なミラクルが起こったじゃない!

過去のことだと言ったけれど、向かい合って座ることになるなんて最悪以外の何ものでもない。
会場には続々と人が集まっているけど、私のテーブルにはまだ誰も来る気配がない。

誰でもいいから早く来て!と願うばかりだった。