「もう七年も経ってるし、全く問題ないよ。それに百人ぐらい来てたら会わないかもしれないでしょ」

そう言って念のため宴会場を見回してみるけど、それらしき人は見当たらない。

「まぁ、そうだけど。でも、アイツらは一回ぶん殴ってやらないと私は気が済まない」

「あはは、なんで茜が怒ってんの。ぶん殴るとか物騒だし」

思わず苦笑いしてしまう。
でも、それは私のことを想ってくれて出た言葉だと思うから茜の気持ちはすごく嬉しかった。

「だって、さくらが怒らないから」

「ありがと。でも、私ならホントに大丈夫だから」

「ならいいけど」

言葉とは裏腹に、茜は納得していないような微妙な表情を浮かべていた。

私にとっては過去のことだし、『あー、そんなこともあったな』というレベルの話で今は痛くも痒くもない。


「茜~、帰ってきてたのね!会いたかった~」

突然、そんな声が聞こえ背後から茜を抱きしめてきた。

「ちょっと、なつみ!急に抱きついたら危ないじゃない」

「ごめんごめん。茜がいるのを見たら嬉しくなって」

茜に嗜められて謝罪しているのは逸見なつみ。
茜とは仲が良かったみたいだけど、私はほとんど話したことがない。
二人は久々に会ったみたいだから、席を外した方がいいかもしれない。

「茜。私、そろそろ自分の席を探すね」

じゃあ、と小さく手をあげて背を向けた。