しかも、茜は二年前に結婚して県外に行ったので滅多に会えない。
たまに連絡を取りあったり、年賀状のやり取りでお互いの近況報告する感じ。

奈津美は結婚しても地元にいるけど、独身の私が既婚者の人に連絡するのはなんとなく躊躇してしまう。

休みの日は夫婦で過ごしたいと思ってるかも、とかそんなことを考えたら昔のように軽々しく誘えない。
だから、こうした同窓会とか特別なことがないと会えないというのが現状だ。

「茜は今日、実家に泊まるんだよね」

「うん。旦那は家に置いて来たけど、郁は連れてきて母親に面倒をみてもらってるの」

「そうなんだ。郁くんも大きくなったよね」

「まぁね。我が息子ながらホントに可愛いんだよ」

そう言ってバッグからスマホを取り出し、待ち受け画面を見せてくる。
そこには、お菓子を手に持って満面の笑みを浮かべている茜の息子、郁くんの姿が写っている。

「うわっ、マジで可愛い」

「でしょ!モデルにもなれるかも~」

だらしなく頬を緩め親バカっぷりを見せる茜。
ホント幸せそうで、羨ましくなってくる。

「それにしても同窓会によく来る気になったね。さくらはてっきり欠席すると思ってたのに。会っても大丈夫なの?」

茜がスマホをバッグにしまうと、心配そうに聞いてくる。
最初は意図が掴めなかったけど、よくよく考えたら“あのことか”と理解した。