「そうだね。奈津美、先月赤ちゃんを産んだばかりだから今日は来れないって聞いてるけど」

「ハガキにもそう書いてあったわ。そうそう、最初は立食じゃなくて席が決まっているからクジを引いてね」

箱を差し出してくるので手を突っ込み、一枚の紙を取り広げて見る。

「えっと、十五番」

「さくらは十五番と。そうだ、今日は高三の時の担任の先生が数人来てくれる予定なの。うちのクラスのもっさんは来てくれるって」

「そうなの?てか、もっさんて響き懐かしいわー」

久々に聞いた担任のあだ名に笑ってしまう。

担任の名前は田崎夏樹で通称、もっさん。
どうしてもっさんかというと、話をよく盛って話すから“もっさん”と陰で呼んでいた。
でも、これは私たち仲間内での共通のあだ名だから他の人には分からないと思う。

「さくらのテーブル席はSで、番号が書いているプレートをランダムで置いてるから自分の番号を探してね」

参加者名簿に私の番号を書き込むと、中に入るように促された。

会場に入ると、セッティングされているテーブルが目に飛び込んできた。
すでに人が集まり雑談に花を咲かせている。
ざっと会場を見ると何人か知っている人がいたけど、そこまで仲が良かった訳じゃないので話の途中に割って入るのは出来ない。

若干、会場の雰囲気に気後れしながらSテーブルの十五番と書かれているプレートを探し始めた。