「その上目遣いは反則だろ」
照れくさそうに笑う。
呼んでと言ったくせに、そんな表情をする方が反則だよ。
どう転んでも私は金沢くんに振り回されるんだ、なんて考えていたら花壇に咲いている花が視界に入り、ふと思った。
私の恋の種は、あの卒業式の時に蒔かれていたのかも、と。
今日、金沢くんに会えなかったらその種は芽吹くことも花開くこともなかったのかもしれないな……。
同窓会に来る前は、まさかこんな展開になるとは想像もしてなかった。
これも七夕の夜だから奇跡が起こったのかも……なんてね。
「じゃ、行こうか」
二人並んで中庭を出る。
「さくらはひとり暮らし?」
「うん。れ、蓮くんも?」
呼び慣れてなくて、ぎこちなさが全面に出てしまう。
「あぁ。そっか……ひとり暮らしなら遅くなっても平気だよな」
ニッと口角をあげて意味深に笑った。
「そっか」の後がよく聞こえなくて聞き返した。
「ん?なにか言った?」
「いや、なんでもない。あー、腹減った」
そう言って金沢くんはロビーを足早に歩く。
ホテルを出る時、何気なく背後を振り返ると笹に飾っていた私の短冊がヒラリと風で揺れているような気がした。
【金沢くんにもう一度、会えますように】
私の願いごとは叶えられた。
とびきりのおまけと共に……。
END.



