一階のロビーを抜け、歩いていたら奥の方に中庭があることに気付く。
その存在が気になりつつもエレベーターで三階を目指した。
エレベーターを降りて宴会場に向かうと受付があり、男性側と女性側に分かれている。
女性側には高校三年の時、私のクラスの学級委員長だった日村佳代がいた。
「さくら~、久しぶり!」
私に気付いた佳代が手を振りながら叫ぶ。
「久しぶり。佳代が受付してたんだね」
「そうなの。当時の学級委員でクジを引いたら当たっちゃって。ね、」
隣にいる他のクラスの学級委員だった花岡さんと顔を見合わせる。
「赤木さん、俺のこと分かる?」
会費を渡していたら、男性側の受付をしている人に声をかけられた。
ちょっと体型が変わっているけど、顔の面影は辛うじて残っている。
確か高一の時に同じクラスだった山田和也。
「山田くんでしょ。久しぶりだね」
「当たり~。覚えてもらえていてよかったよ。今日は楽しんでな」
そう言って嬉しそうに笑う。
山田くん、かなりぽっちゃりしてる。
さっきチラッと見えたけど、左手薬指に指輪が光っていたので結婚しているんだろう。
きっとこの体系は奥さんの料理が美味しいから幸せ太りしちゃったのかな、なんてこれは私の勝手な推測だけど。
「さくらに会うのは去年の奈津美の結婚式以来だよね」
佳代が参加者名簿から私の名前を探しながら言う。



