「ヤバい。マジで嬉しい」
金沢くんに抱きしめられて心臓が跳ねた。
鼓動が聞こえてしまいそうなぐらい音を立てている。
こういう場合、私も抱きしめかえせばいいんだよね。
おろしている手を動かそうとした時、私の背に回されている金沢くんの手が少し震えている気がした。
もしかして、金沢くんも私と同じように緊張しているのかな。
この年で相手に“好き”と伝えることは、それ相応の勇気が必要になる。
私だってすごく恥ずかしかったし、勇気を振りしぼった。
そんなことを考えていたら、金沢くんが抱きしめていた手を緩め私をじっと見下ろす。
えっ、なに?
徐々に金沢くんの顔が近づいてきたので反射的に目を閉じると、額に柔らかな感触がした。
「さすがに人前じゃここにキスは出来ないから、期待してたらごめんな」
いたずらっぽく笑い、人差し指を私の唇に押し当てる。
私は唖然として目の前の金沢くんを見つめた。
さっきの額への感触は唇だったのか……。
じゃなくて!
なにが起こったのか理解するに数秒かかった。
ワナワナと震え、つい大声を出してしまった。
「き、期待なんてしてる訳ないでしょ!変なこと言わないでよ」
私は羞恥で真っ赤に染まる。
ホント信じられない!
あれ、ちょっと待って。
さっき金沢くんは人前って言ってたけど、どういうこと?



