話をしていて気付く。
いつまでも引きとめていたら、金沢くんが同窓会に参加できないよね。
名残惜しいけど、ここでさよならだ。
「それじゃ、私は帰るね」
「じゃ、俺も帰ろうかな」
まさかの返事に驚きの声が漏れた。
「えっ、どうして?来たばかりなんでしょ。せっかく同窓会に来たんだし、みんなに会わないの?」
「いや、俺は別にみんなに会いに来た訳じゃないし。それに会いたい人に会えて目的は達成したから」
そう言って笑う。
会いたい人には会えた……?
一体、金沢くんは誰に会いに来たんだろう。
もしかして女の人なのかも、と考えただけで胸がザワザワした。
どうしても気になり、探るように聞いてみた。
「どういうこと?同窓会の会場は三階でここは一階のロビーだよ。さっき来たなら、まだ誰にも会ってないと思うんだけど」
「ホント、赤木は鈍いな。今、俺は誰と会って話してる?」
金沢くんと会っているのは私だけど……って。
「えっ?」
「気づいた?俺、赤木に会えたらいいなと思って来たんだ。まさかの仕事で遅れたからどうしようかと思っていたんだけど。入れ違いにならなくてよかったよ」
金沢くんは今なんて言った?
『赤木に会えたらいいなと思って来たんだ』
脳内でさっきの言葉をリピートする。
これって幻聴じゃないよね。
ヤバイ、頬がだらしなく緩んでしまう。



