「そんなことないよ!私は金沢くんが普通に話してくれたことで救われたんだから。私の方こそ面倒なことに巻き込んでごめんね」
それこそ、金沢くんにとってはとばっちりだ。
逆にこっちが謝らないといけないよ。
不意に携帯電話の着信音が耳に届いた。
金沢くんはポケットからスマホを取り出し画面を見て「あっ」と声を出す。
「悪い。電話にでてもいい?」
「うん、もちろん」
私に断りをいれると、金沢くんはスマホを耳に当てた。
「お疲れさまです。さっきはありがとうございました」
会話の内容から仕事関係の電話だというのが分かる。
「はい、なんとか間に合いました。田中主任のお陰です。今度、俺が奢りますね。いや、そんなことないですって!マジっすから。あはは、期待しといてください。また月曜に。はい、失礼しまーす」
笑いながら電話を切る。
電話の相手に“主任”と言っていて楽しそうに話していたことに驚いた。
敬語も使っていたから、自分より上の人なはず。
それなのにあんなフランクに話せるなんて、これも金沢くんの人柄なのかな。
って人の会話を聞くつもりはなかったけど、聞こえてきたから……と心の中で言い訳する。
「ごめん、会社の上司から。さっきまで一緒にいて、前に俺が同窓会の話をしてたのを覚えてくれていたみたいで先に帰してくれたんだ」
嬉しそうに話す。



