「だからね、金沢くんに会えたらちゃんとお礼が言いたかったの。ホントにありがとね」
金沢くんにとっては何気ない言動だったかもしれないけど、私からしたらそれで救われたから。
「いや、俺は本当になにもしてないよ。だけど、話しかけたことで赤木の気持ちが少しでも軽くなってよかった」
金沢くんは穏やかに微笑んだ。
私はその顔を見て胸がキュンとなった。
あれ?なんだろう、この気持ち……。
自分の中に、“ある”感情が芽生えているような気がした。
ふと金沢くんが腕時計に目をやった。
「そういえば、同窓会はまだ終わってないだろ。赤木は戻らないのか?」
「うん、私はもう帰ろうかなと思って」
今さらあの会場には戻れない。
今日は金沢くんに会えたらいいなと思って出席した同窓会だったから目的は果たせた。
私は帰るけど、金沢くんは同窓会に参加するだろうからここでお別れだよね。
最後に前から思っていたことを聞いてみた。
「ねぇ、金沢くんはどうしてあの時、私に声をかけたの?別にスルーしてもよかったんじゃない?わざわざ泣いている面倒な女に声をかけるなんて珍しいよね」
「あー、それって言わなきゃダメな感じ」
気まずそうに頬をポリポリとかく。
そんなことされたら余計気になり、ますます聞きたくなる。
「うん」
どうしても知りたくて頷くと、金沢くんは渋々口を開いた。



