金沢くんと三年間過ごした校舎を後にするなんて変な感じだ。
一緒に帰る機会なんて今まで全くなかったからなぁ。
歩いていたら、金沢くんは校門のところで足を止めた。
「この看板をバックに写真撮ろうぜ」
いきなりそう言ってポケットからスマホを取り出し、私のそばに寄ってきた。
校門の横には“○○年度 祝 卒業証書授与式”と書かれた高さ二メートルぐらいの看板が設置されている。
「ホラ、もっとくっついてくれないと撮れないんだけど」
私の肩を抱き寄せてきて、心臓がドキリと跳ねる。
しかも、いきなりそんなことをされたもんだから私の身体はカチカチに固まる。
「撮るぞ」
「え、ちょっと待ってよ」
カシャ、というシャッター音と共にスマホの画面には笑顔の金沢くんと、焦った表情でしかも泣いたせいで目が真っ赤で不細工な私の顔が写っていた。
「赤木の口、見事に開いてるな」
金沢くんはスマホの画面を見て笑っている。
いや、笑い事じゃないから!
「お願いだから消して!今の私は写真に耐えれる顔じゃないから」
あんな顔してる写メが残るなんて拷問に近い。
削除してもらうように必死に頼んだ。
「えー、嫌だよ。これはこれでいいだろ。それに、せっかくの記念なんだから」
口を尖らせて拒否する金沢くん。
「そんな記念いらないよ」
あの不細工な写メが一体なんの記念になるというんだろう。



