なんでこんなことになったんだろう。
自問自答を繰り返す。
キスだけしか許していない私がいけなかったのかな。
でも、身体を重ねることが怖かった。
それを佐々木くんに素直に伝えたら「さくらの気持ちを尊重するから大丈夫だよ」って言ってくれたのに、こんな形で別れることになるなんて……。
楽しかった思い出が走馬灯のように駆け巡る。
高三の四月、告白してくれたのは佐々木くんの方からだった。
サッカーの試合の応援に行った時、佐々木くんがシュートを決める姿を観て興奮したのを覚えている。
一緒に夏祭りや花火大会にも行った。
大学は別だけど、お互いに頑張ろうと励まし合って勉強した。
クリスマス、バレンタインは受験で忙しかったから卒業したらプレゼントを贈り合おうなんて約束した。
それも果たされることなく、私たちの付き合いは終わったんだ。
鼻をすすっていたら誰かが廊下を歩いている気配がした。
ヤバいと思っても涙は止まってくれなくて。
その代わり、足音が私の近くでピタリと止まった。
「こんなところでなにしてんの?」
不意にかけられた声に反応することが出来なくて黙っていた。
誰だか分からないけど、泣いているんだから放っておいて!
そんな私の願いもむなしく、その声の主はまた話しかけてくる。
「おーい、赤木だろ。なんで泣いてんのか知らないけどパンツ、見えてるぞ」



