「誠人、欲求不満だったみたいであたしに愚痴ってきたよ。彼女がエッチさせてくれないって。よっぽどたまってたんじゃない？」
言われた内容があまりにも信じがたいものだったので思考が一時ストップした。
今、笠原さんはなんて言った？
エッチしてない？
欲求不満？どういうこと？
頭の中にたくさんの疑問符が浮かぶ。
まさか、佐々木くんがそんな事情まで笠原さんに話をしているとは思っていなくて混乱する。
普通、そんなことを幼なじみだからって話すんだろうか。
しかも、女の笠原さんに……。
恥ずかしさや悔しさ、いろんな感情が渦巻く。
ギュッと拳を握り、必死に耐えている私に笠原さんは追い打ちをかけるように囁いた。
「あたしと誠人、身体の相性がいいみたい」
勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
一瞬、笠原さんの言っている意味が分からなかった。
身体の相性がいいってなに？
じゃあ、二人はそういう関係なの？
考えただけで嫌悪感がわいてくる。
「エッチもさせてくれない彼女なんている意味ある？私はないと思うな～。誠人が可哀相だから早く別れた方がいいと思うけど。って、ごめんごめん。余計なお世話だったね。もう赤木さんと会うことはないと思うけど。それじゃあね」
笠原さんは言いたいことだけ言うと笑いながらその場を後にし、残された私は呆然と立ち尽くしていた。
