そして、恋の種が花開く。


「赤木さんもデザート取りに行かない?」

「あっ、まだ食べ終わってないから後から行くね」

会話に夢中になり、食べるのが遅くなった。
村瀬さんは器用に話しながら食べていたので、お皿の上は綺麗になくなっていた。

「そっか。じゃ、ごゆっくり。あー、どんなデザートがあるかな」

村瀬さんたちは楽しそうにデザートコーナーへ向かった。
女子はデザートには目がないし別腹だからね。
私もさっさと食べてデザートを取りに行こうっと。

「あのさ……」

黙々と箸を進めていたら、不意にかけられた声に反応し手を止めた。
これって、どう考えても私に話しかけてきたよね。
ゆっくりと声をかけられた方へ視線を向けた。

「なに?」

自分でも驚くほど低い声が出た。

気が付くと私と佐々木くんだけがテーブルに残っていて、声をかけてきたのは佐々木くんだったからだ。

「あの時のこと、謝りたくて」

申し訳なさそうな表情で私を見る。
私はため息をつき、手に持っていた箸をお皿の上に置いた。

「今さら謝ってもらう必要はないよ。もう七年前のことだし、私の中では終わった話だから」

キッパリと言い放つ。
同窓会のハガキを見るまで、佐々木くんのことなんてすっかり忘れていたぐらいだし。
正直、佐々木くんに会っても胸が痛むことはなく、私の中では過去のこととして清算できている。