幼馴染の彼～あの日の約束～

　少しずつ智弥が近づきながら、話を続けた。

「あれは、杏子が同級生の彼と付き合っててさ、２０歳のお祝いにお互い何かプレゼントしようって約束をしたらしくて。どうせなら大人っぽいものがいいんだけど、って相談されててね」

　思い出した。

　智弥には年の離れた妹がいたことを。

　小学１年生の時に、妹が生まれて。でも、年が離れているから、一緒にどっか行ってても話ができるわけじゃないし、智弥の両親も妹の杏子ちゃんにべったりだったから、接点があまりないせいか、印象が薄かった。

　「杏子のこと思い出した？」

　いつの間にか、私の隣へとちょこんと座っている智弥に驚いて、私は腰を浮かして少しだけ距離をあけた。

「あの日はさ、杏子の奴、彼と喧嘩したって言って俺の職場まで泣きついてきてさ。仕事にならなくなって仕方なく、切り上げてマンションに戻って、話を聞いてたわけ」

　２０歳って若いよな、話の内容が幼稚で、そんなことで喧嘩するのか？って思うようなことなんだよと話を続ける。本人達にとっては真面目なことなんだろうけど、くだらない内容なんだぜ？と明るく笑って話す。

　そんな表情にドキドキしている自分がいた。いつも隣で笑ってくれてた智弥が懐かしいとさえ、感じてしまう。たった３日しか会っていなかっただけなのに。