幼馴染の彼~あの日の約束~

 約束の金曜日。

 駅に降りると、改札口あたりから、浴衣姿の人達をチラチラみかけ、待ち合わせの智弥のマンションへ向かうと遠くから太鼓や笛の音、盆踊りの曲が聴こえてきた。

 小さなあの公園でも何かしているのだろう。

 マンションの前に着き、智弥にメールすると

『俺も、もうじき着くから待ってて』

 あれ?マンションにいるわけじゃないの?
 仕事だったのかなと思いながら待っていると、駅とは反対の道から、ポロシャツとジーンズというラフな格好の智弥が小走りでやってきた。

「ごめん、待たせた」

「ううん、今日は休みだったの?」

「有休」

 え、有休?
 不思議に思いながら、智弥に着いていくと、智弥はマンションへ向かう。

「え、マンション?」

「うん」

 マンションのエントランスホールからエレベーターに乗り37階のボタンを押した。

 今日はいつになく口数が少ない智弥に、私も口数が少なくなってしまう。
 2人してエレベーターの階数をじっと見つめていた。

 37階でエレベーターは止まりドアが開くと、智弥が先に出て進む。
 智弥の左手には少し小さめの白い箱が握られていた。

「智弥、それ・・・ケーキ?」

「あ、うん」

 にこりと笑って軽く持ち上げた。
 今日ってやっぱり私の誕生日をお祝いしてくれるつもりでいるの!?