声を潜めて、時に目立つ自分。


先生だけに、いい子ちゃんは飾る。


他の人には、憧れの私でいる。




それが、私の過ごし方。




退屈な日々が、こんなに楽しくなるなんて思ってもみなかった、中学時代。




生憎、中学のときはもう1人''美しいもの''が居たから、私と僅差だったけど、今はもう、居ないの。




私が、消したから。





別に、物騒なものじゃない。
物理的なことじゃない。





ただ、あの子は隙がありすぎる悪い子だったから、成敗してやった。




それだけのことだ。





「華ちゃん、次教室移動だから、一緒に行こう!」





朝の、あの子。



この子も懲りない子である。



名前は確か、美海ちゃんだっけ。


「あ、そうだったね。
ありがとう、一緒に行きましょ」





わざと知らないふりして、天然アピール。



可愛いでしょ、私。





…なんてね。













しかし、この子も随分とアホの子なのだろうか。



「加藤さんってさ、大倉さんに媚びってるよね」
「それな、お前なんかが大倉さんと並んだって可愛くなれるわけじゃねーからって感じ」







ほらほら。




醜い少女がいちゃもんつけてるよ。











「おーい、大倉。ちょっといいか?」





はいはい。またですか。

「はーい。
ごめんね、美海ちゃん。先行っててくれるかな」



美海ちゃんって呼んで、少しだけ見逃してもらおう。



この子は単純だから、名前呼びしただけで舞い上がっちゃうだろうし。




「うっ、うん!先行ってるね!」



ほら、舞い上がってちゃってね。
馬鹿みたい。

















見送った後で、先生のとこへ駆け寄る。









「なんですかぁ?せんせー」




「ほんっとお前って醜いやつだよな」













「五月蝿いなぁ、可愛いって褒めようよ」











私が唯一本性を出せる人、こんにちは。