嘘つきの紙飛行機




それを見た天輝は、自分の心臓がそのとき確かに大きく脈打ったのを感じた。





“誰か私を、殺してください”








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【4月23日 月曜日】



ピピピピッ…ピピピピッ…



部屋に差し込む、淡い朝日の光。


一定のリズムを刻む音以外は何も聞こえてこない、不思議な空間。


「う……んん…」



ある程度大きな目覚まし時計の音に反応して、天輝はダルい身体を起こした。



時刻は6:30。


今日が始まる。



(起きなきゃ…)


上半身を起こしベッドから出ようとして、天輝は膝に違和感を感じた。


(筋肉痛…かぁー…)


原因はわかっている。


あの町を見渡すことのできる丘に登ったときのものだ。


町全体を見渡せると言うだけあって、高さはかなりのもの。


具体的に言えば、階段約300段だ。



昨日は天輝にとって、年に一度の大切な日だった。



4月22日は天輝の母である倉内 奈菜子(くらない ななこ)の命日。