「…これで約束は、あと一つになったね」
女性は持ってきた花を飾り、手桶に汲んだ水をお墓にかける。
「でも、最後の約束はまだダメそうなんだ。だって……」
女性は水をかけ終わり、柄杓を手桶にもどして墓前でしゃがんだ。
小さな声で。
でも、今は亡き大切なあの人に届くように。
「あなた以上の人は、どうしても見つからないから」
10年。
長いようで短かった。
短いようで、長かった。
それでも、10年前のあの時のことは未だにはっきりと覚えてる。
(あなたと私を繋いでくれた、あの紙飛行機が飛んできた日のことをーーーー)