ざわざわしていた教室が少し静まり
みんなに見られる。




教室に入ってもまだ誰も私と気付いてないのかな?





「・・・・・」


私はうつむきながら、自分の席に向かう。


ガタッと椅子を引いて座ると‥‥







「どえええええーーー?!そこ白雪さんの席だけどマジで??マジで白雪さん?!」


「まさかと思ったけど本気で??!」







静かだった教室が一斉にどよめいた。





「~~~~‥‥っ」


私は真っ赤になって顔を真下にうつむかせる。



今から大バッシングを受けるのか
それともヒソヒソと何か言われるのか‥‥



予想される荒波に、私は目をギュッとつむる。












「すごい可愛くなったじゃん!!」



え?

予想外の言葉に目をあけ顔を上げると
いつの間にかクラスメイト数人が私の机を囲っている。




「髪の毛めっちゃ綺麗!毛量ヤバかったのにめっちゃストレートになってるし!どこの美容室?!」


「てか白雪さん眼鏡ない方が絶対いいよ!」

「俺もうマジ女のこと信じらんねー(笑)」




私を囲って盛り上がるのは、クラスでも特に接したことがなかった女の子や男の子。






「さっき逢坂くんと一緒にいたけど、まさかあの逢坂くん色々教えてもらったの?!」


「う、うん。逢坂くんの知り合いの美容師さんに連れて行ってもらって‥‥」


「えーどこ?めっちゃ行きたい!教えて」





そこで私は気付いてしまう。


私を囲って盛り上がるクラスメイトの向こう側に、数人の女の子がグループになってこちらを睨んでることに。


よく私に苦言を呈していた子達だ。 



やっぱり地味子のクセにって
ヒソヒソ話してるのかな‥‥?


あの白雪のくせに気持ち悪いって
思われてるのかな。




そう思うと今私の周りに来てくれてる子も
本当は心の中でどう思ってるのかが不安になる。




「てか白雪さんと逢坂くんに接点あったのが驚きすぎるわ!(笑)」


「ねーなんで急にイメチェンしたの??」
 

「・・・・・・」






恥ずかしがって、怖がって
いつものように何もいえずに黙って‥‥


ここで頑張らないと
たぶん元のぼっちに戻ってしまうんだろう。




逢坂くんが変えようとしてくれた私。

ここから、変わりたい。




私は精一杯の勇気で顔を上げる。






「あ、あのね、自分を変えたくて‥‥何も伝えられない自分から、もっと前向きな自分になりたくて」