「おい、ちょっとストップストップ‥‥」
!!
その時、どこからかそんな声がして
私と逢坂くんは目を見開く。
キッチンの奥から
いつかの黒猫がひょっこり姿を現す。
逢坂くんは私の上からサッと退くと
私の手も引いて起きあがらせてくれた。
ね、猫かぁ‥‥びっくりした。
声も聞こえたような気がしたけど‥‥
空耳かな?
ご両親が帰宅したのかと思って
本当にびっくりした。
なぜか変に甘い雰囲気になってしまってたから‥
私は赤い顔のまま
ボサボサになった髪を手で抑える。
一方、なぜか逢坂くんは
猫相手に本気で文句を言い始める。
「‥‥覗き見してんじゃねーぞ変態が」
「え?あの‥‥飼い猫さんでしょう?別に猫がいたってそんな怒らなくても‥」
「コイツ猫じゃねーし」
「え?」
私は首を傾げて黒猫を見る。
‥‥どこからどう見たって綺麗な黒猫だけど。
そう思っていると
突然、黒猫が話し始める。
「覗き見してた訳じゃない。そっちが勝手に盛り上がり始めたから‥‥出るに出れなくなってしまった気まずいこっちの身にもなれ///」
‥‥‥え?
えええ??
「四六時中憑いてくるお前が悪いんだろーが」
「俺が憑いてることが分かってて堂々とイチャつく方がどうかと思うがな」
えええぇぇーーーー??!
「ちょ‥ちょっと待ってください‥‥」
頭がパニック寸前の私を
逢坂くんと黒猫が二人(?)同時に見てくる。
「その黒猫‥‥何者ですか?」
猫なのに人の言葉を話すなんて
どう考えてもおかしすぎる
「だからコイツ猫じゃねーんだよ。中身は男の霊、しかも俺らと同じ高校生の」
「えぇぇええぇ?」
「初めまして‥‥で良いのかな杏南。あなたに会えて光栄です」
黒猫は私の元まで来ると
遠慮がちにお辞儀をする。
すごく礼儀正しい。
「おいテメェ俺の時と態度が違いすぎるだろ」
「それは壱護の思い込みだ。俺は最初からお前にも敬意を持ってるぞ」
「はぁ?どこがだし」
逢坂くんは不機嫌そうに
ソファにドカッと座る。
私はまだ頭が追い付かない‥‥。
逢坂くんは長い脚を組んで黒猫を見下ろす。
「つかお前いつまで俺に憑くつもりだ?」
「心配しなくてもその内に消えるよ。ただ‥‥それはお前にすべきことを伝えてからだ」
「なら今すぐ伝えて消えろよ」
逢坂くんにそう言い放たれて
黒猫は少し悲しそうな顔をする。
