逢坂くんの家は住宅街の中にあった。





私の家ほど大きくないとか言ってたけど
普通に立派なお宅だ。



そう言えば、逢坂くんのお父さんは
教育委員会の偉い人?だとか聞いたっけ。



逢坂くんはガチャっと鍵で
玄関をあけると中に入っていく。




「お、お邪魔します‥‥突然の訪問、大変申し訳ありません‥」




私は遠慮がちにヘコヘコと玄関に入る。





「ぷ、誰もいねぇし遠慮しなくて良いから」


「え?ご両親は?」


「親父は仕事だし母親はいつも出掛けてる。そのへん適当に座って」







そのへん適当‥‥

リビングに入り私はキョロキョロしてから
テレビの前の大きなソファの端っこに座る。




「今エアコンつけっから」


逢坂くんは冷蔵庫から
氷たっぷりの麦茶を出してくれる。





「ん」

「あ、ありがとう」



私がコップを受け取ると逢坂くんも同じソファの真ん中にドカッと座る。


ピッとエアコンを付ける。




「・・・・・」

「・・・・・」






う、なんか沈黙が気まずい‥‥?


ゴクゴクと、逢坂くんの麦茶を飲む音が
聞こえるほど沈黙した空気が流れる。



そう言えば、
こんな風に完全な個室で
二人きりになるの初めてだ。



なんだろう‥‥

いつもと違う緊張感を感じてしまう。