杏南は真っ赤になりメガネを曇らせる。



「私あの逢坂くんに勉」

「てか、ちょっとホント信じらんない!逢坂くんには誰も抜け駆けナシって暗黙のルールなんだよ?」


「白雪さんてなんでいつもそうやって団体行動とか乱すの?」


「どんな神経してたら、白雪さんみたいな地味子が逢坂くんの横に座ってられるのよ」







杏南が言葉を言い終わる前に
女子二人に次々まくし立てられ


杏南はそのまま黙ってうつむいてしまった。


いつものクセで、メガネを触る杏南の指先が
少し震えている。





は、なにこれ。

コイツいつもこんな感じなの?







「コイツは学年主任の言い付けで、俺の勉強みてるだけだから」




黙ったままの杏南の代わりに
とりあえず、俺が答えてやる。



俺の言葉に
女子二人組はハッとする。


自分たちの鬼のような形相を、俺に見られた事が気まずかったのか、とっさに変な作り笑いを浮かべる。




「あ、そうだったんだね///」

「でも白雪さんて普段から本当に周り見えてないからさ、うちらもつい怒鳴っちゃった」

「じゃ、じゃあ逢坂くん勉強頑張ってね!」





そして二人組は俺たちとは離れた机に
パタパタと向かって行った。