杏南と放課後
勉強するようになって二週間。







杏南の教え方は、かなり分かりやすい。





「そ、そこはさっき覚えた公式使うんですよ」





この調子で勉強すれば
赤点どころか結構良い点が取れるかも。



ただ俺には
別の問題も発生しつつあった。


ひとつの机に
向かい合って座っている俺と杏南。


杏南の白い肌が
いちいち目に付く。




「なぁ‥‥ちょい休憩させて」

「え、またですか?」

「1分でいいから」




俺は杏南の方に手を伸ばすと
その細い手首をつかむ。



あー…ヤバい。

なんだこれ。




俺はこうやって杏南に触れることが
クセみたいになっていた。



最初は気分が悪い時の
浄化作用目的で触っていたのに。


このところ、杏南に無性に触りたくなる。


なんてゆーか、リラックス効果?



例えるなら

疲れた時のタバコとか
仕事終わりのビールとか


ぜんぶ実際したことねーけど、

そういう中毒的欲求って感じ?










「お前の能力レベルアップしてるな」

「し知りませんよっそんな事///」






俺が触れると
いつも耳まで赤くなる杏南。

いつも曇る分厚いメガネ。



不器用なその姿が最近ツボで、
少し可愛いとすら感じる。




赤点でお触り一生禁止になったら
俺、マジで生きていけないかも。