みんな帰宅して
教室に誰もいなくなった頃



ガララ‥‥と遠慮がちにドアが開いた。




俺は机に突っ伏したまま、顔だけあげる。




「あ」



教室の入口には
あの亡霊みたいな地味女‥‥

いや、昨日の事を思えば俺の救世主(?)
が立っていた。





「なんでお前がここに」




って俺
こいつに会うたび同じ台詞言ってる?






「あああの私、先生に言われて、あの、逢坂くんのお勉強を‥‥」




地味救世主はうつむき顔を隠しながら
ひたすらメガネを触る。






「え、お前が勉強みんの?」




特別補習って
センセーの補習受ける訳じゃないんだ。





俺は、毎回口うるさく説得しにくる
弱々しい学年主任の顔を思い出す。


あぁ、なるほど、
アイツこの女に押し付けて逃げたのか。