ざわ、ざわ、がや、がや






微かに聞こえていた声が
徐々に大きくなり


俺はゆっくりと杏南を離す。



杏南は真っ赤な顔で
思考回路がうまく作動してないのか
トロンと虚ろな目をしている。




「杏南、そろそろ降りて」

「あ、はい‥‥」




俺の声に、杏南は俺の足の上から
よろけるように降りると


少しシワになったスカートを
のばしたり髪を整えたりする。



真っ赤にうつむいたまま
俺の目を見ない杏南。





‥‥まぁ、ビックリさせたよな。

俺は杏南の頭をポンポンする。