生い茂る葉々と紫陽花を
かき分けながら進んで行くと


紫陽花の向こう側には
古い小さな神社があった。




こんな神社、知らなかった。










「あ」



小さな神社の屋根の下には
先客がいた。


同じ高校の制服を着た男子。






でも、様子が少しおかしくて…

彼は苦しそうにうずくまって頭を抱えていた。










黒猫は彼の元へ走り
そっとすり寄った。









「あの…大丈夫ですか?」


私も思わず、声をかける。







学校では
なかなか相手に伝わらない、私の声。





だけどここは、とても静かで。





雨の中でも
私の声は相手に届いた。








彼は顔をあげる。


それは、逢坂くんだった。