夏休みの課題の提出が終わり
次は体育館に移動することに。
ざわざわとみんな移動しようと席を立ち始めた時クラスメイト2人が私の前にやって来る。
あ‥‥このふたりは
三つ編みの三井さんとメガネの澤村さん。
もちろん会話したことはない。
二人は何か言いたげに少しモジモジしてから
ようやく声を出す。
「あの‥‥白雪さん、一緒に移動する?」
「え?」
「あ、嫌じゃなければ‥‥だけど」
「!」
私は慌てて首を左右に振る。
「い、嫌なわけ、ないです」
「あ‥‥ほんと?良かった」
三井さんと澤村さんは安心したように
お互いを見合う。
こうして私たちは三人並んで教室を出ることになった。
廊下を歩きながら
澤村さんが私の顔を不安げに覗き込む。
「あの、うちらの名前‥‥覚えてる?」
「も、もちろんです。三井あかりさんと澤村志帆さんですよね」
クラスメイトの名前は
初日から一通り覚えてる。
その名前を呼ぶ機会は今日までなかったけれど‥‥
「え!フルネーム?!すご‥‥(笑)」
「やば、さすが秀才は暗記力が違うね」
三井さんと澤村さんはお互いクスクス笑う。
「あ、白雪さんは‥‥下の名前なんだっけ?」
「杏南です」
「じゃあ杏南だね。私たちはあかりと志帆で良いよ」
「わ、わかりました」
そこで会話がいったん、途切れてしまう。
気まずい沈黙が数秒流れる。
「あ、そう言えば‥‥昨日のドラマ見た?」
沈黙をうち破るべく、あかりさんが話題を振る。
「見た見た!あの展開はない~って思っちゃった」
「分かる分かる、あそこはさー」
あかりさんと志帆さんの会話が弾んでく。
その二人の隣を歩きながら
私は会話にまったく入っていけなくて‥‥。
内容もわからないし
盛り上がる二人の会話に言葉を挟むタイミングも分からない。
困ったな‥‥
私、一緒にいて良いのかな‥‥と不安になってくる。
