暫くすると、階下から賑やかな声がしてきて、けれど、困ってるような二ノ宮の声が聞こえてきたものだから心配になって階段を降りる。
こっそり様子を伺うだけのつもりだったのに、覗き見た刹那、玄関に立つその人と目が合ってしまって。
「え、あれ? え?」
私は、固まった。
「ゆ、結城……!」
そう、来客は結城だったのだ。
「あれ、待て待てお前ら何これ」
興奮しながら、スマホのカメラを私と二ノ宮に向けて「スクープ? スクープ?」と連呼する結城に、二ノ宮は何食わぬ顔で「宿題を手伝ってるんだよ」と説明した。
いつも思うけど、こういう時にあまり焦ったりしない二ノ宮を尊敬する。
バスケでもフェイクが上手いし、元々ポーカーフェイスが得意なんだろうか。
「え、マジで? ホントそれだけ?」
「それだけ。な、桃原」
「う、うん」
そして、私は動揺を隠せないタイプで、せっかくの二ノ宮のファインプレーを無駄にしないか自分で冷や冷やする。
今回は相手が結城だから、まあバレることはないかなと思いつつも、私の気持ちを知ってくれて応援までしてくれている彼には話してもいいのかなと考えてみたり。



