真剣な瞳でボールを追い、生き生きとコートの中を走る姿も。


汗を拭う仕草も、ゴールを決めてハイタッチする笑顔も、仲間へと送る声も。


生き生きとバスケをする彼が、私はとても好き。


だから──


悔しさに拳を握り締めるその姿を見るのは、辛い。


冬高男子バスケ部は、インターハイ初戦、106-61と圧勝するも、準決勝で昨年の優勝校と接戦の末、惜しくも81-84で敗退となった。

準決勝の試合には、二ノ宮もスタメンとして出ていたけれど、強豪を相手にしていた為に疲労がひどく、後半途中で三輪君と交代。

三輪君の攻めにより勢いを巻き戻すも、相手校の個々のオフェンスとディフェンスの能力が高く勝つことは叶わなかった。

毎試合、頑張ってと送り出してベンチの後ろで応援するしかない私は、肩を落とす彼らの側でひっそりと願う。
この悔しさを糧に、次の大会では、どうか彼らの努力が結果に結びつくようにと。


そして、再び練習の日々が続くのだけど……それが本格的になる前の休日。

私は、昼間から緊張でそわそわしていた。


白いローテーブルの上に広げられたノートとプリント。

足を崩して座った足元にはいくつかの参考書。

壁面に、バスケ関連のポスターが所々に飾られているこの部屋は、彼氏である二ノ宮の部屋だ。


「そこ全然違う」

「え」

「ここも間違えてる」


隣に座る二ノ宮は、伏し目がちにノートに落とされていた視線をこちらへと向けた。