「合コン?」

「䋝田先輩に誘われたでしょ?」

「ああ、あれか。䋝田先輩、困ってるしね」


──え。


「行くの?」


行くとも取れる言い方に、私は階段の途中で足を止めてしまった。

二ノ宮は行かないと思ってたのに。

ああ、でも、困ってるからと助けるつもりなら行かないでとは言いにくい。

ここは、広い心で楽しんできてねと言うべきなのか。

いや、楽しまれても嫌だけど……!

などと忙しく悩んでいたら、数段上で立ち止まり、私を見下ろしている二ノ宮が「プッ」と笑った。


「冗談。行かないよ。桃原以外に興味ないし」


楽しそうに、嬉しそうに目を細める彼に、私は頬を膨らます。


「ひどい!」


ごめんごめんと笑う二ノ宮を追いかけてホームに立てば、すぐに電車到着のアナウンスが流れた。

黄色い進入禁止線の内側に並んで、緩やかな風が吹いた刹那……

私の手に、二ノ宮の指が触れて。

そっと繋がれる手。

胸が高鳴って、誰にも見られてないかとドキドキしながら手を握り返した私の耳に届いた言葉。


「インターハイ終わったらさ、うちに泊まりに来ない?」


速度を落として到着する電車とは逆に、

私の鼓動は加速する一方だ。