二ノ宮はまさか呼ばれると思ってなかったようで、少し照れた様子で「桃原まで」と眉をしかめた。
直後、なぜか結城が私にウインクする。
そして「あー、なんかゲーセン行きたいかも。䋝田先輩行きましょう!もちろん三輪っち付き合えよ、拒否はさせねえ!」とまくし立て、戸惑う三輪君の腕を引いた。
䋝田先輩は何かを察したよう「あー」と声にしてから、私と二ノ宮を見ると。
「三輪に気晴らしさせてくるわ。じゃ、明日なー」
手を振って、繁華街へと向かって行った。
気晴らしは、本当だろう。
でも、多分気を遣ってくれたのだ。
結城は、私が落ち込んでいたから。
䋝田先輩は、ちゃんと話しをしろという意味で。
残された私たちは、瞬きしながら彼らを見送り……
「じゃ、帰ろうか」
二ノ宮の声に頷いて、改札へと足を進める。
その最中。
「桃原」
「ん?」
「昼間はごめん。彼女いるって言えなくて。あの時、嫌な気持ちにさせただろ?」
困ったような顔をして、二ノ宮が謝った。



