「おー、相変わらず人気ですなー」
本当、あの2人は最早高校バスケ界のちょっとしたアイドル状態だ。
前年のウインターカップの時に、雑誌やウェブで写真が掲載されていたし、その効果もあるのだろう。
「いいなー。俺も写真お願いされてー」
拗ねる結城に「撮ってあげようか?」と言いながらスマホのレンズを彼に向けた。
「や、お前にお願いされてもな。しかも、俺のピンかーい」
1人で騒がしく突っ込みを入れている結城が面白くて笑っていた時だ。
「二ノ宮さんは彼女いるんですか?」
そんな猫なで声が聞こえて、私は笑顔のまま固まった。
目の前で結城が小首を傾げているけど、今はかまっていられない。
耳をダンボにして会話を盗み聞く。
「んー、俺はバスケが恋人だな」
うまく誤魔化して、二ノ宮は王子様のような甘いマスクに微笑みを浮かべた。
「そうなんですね! もし良かったら今度一緒に練習しません?」
女の子のアプローチは止まらない。
それどころか、お友達まで「ぜひぜひ」と誘い始めた。
よく見ると、二ノ宮の腕にさり気なく触れている子もいる。