「交渉して、無理だったら……退部か」


二ノ宮が零した最悪の結末に、私は首を横に振った。


「私、バスケしてる二ノ宮が好きだよ。だから、交渉なんてしないで続けてほしい」


……もし、バレた時は。

二ノ宮には告げるつもりはないけれど、その時は、私が全部背負う覚悟でいる。

彼だけは、許してもらえるようにお願いするつもりだ。

バスケ部にとって私の代わりは誰でもできる。

でも、二ノ宮の代わりはいないから。

きっと、受け入れてもらえるはずだ。


口にした願いに、二ノ宮は私の頭をそっと抱き寄せて、自分の肩口に押し当てる。


「ありがとう。俺は、バスケも桃原も諦めないから」


強い意志に小さく頷いて、祈る。

私の存在が、どうか彼の重荷にならないようにと。

儚く散りゆく光の花を、2人寄り添い、瞳に映しながら。