それの何が問題なのか。

だからこそゆっくりできるのにと考えていた私に、彼は言う。


「それだと、せっかくの誕生日に俺のワガママ聞いてもらうことになりかねないから帰るよ」

「ワガママ?」


何が言いたいのか理解できず、眉を寄せれば。


「つまり、桃原を食べたくなるかもしれないってこと」


説明するやいなや、私の腕を強くひいて唇に軽くキスをした。


「今日はこれで我慢するけど、そのうち全部もらうから覚悟してて」


不敵な笑みを浮かべ「また明日ね」と手を振って玄関扉の向こうへと消えた二ノ宮。

意味を理解した私は、手にしたジュエリーケースを見つめ、1人赤面していた。