「そんな人いないよ」


笑って否定すると、二ノ宮はそうかなと首をひねった。

どちらかというと、私の方が心配だ。

なんせ二ノ宮はモテるし。

彼の気持ちを疑うわけではないけど、付き合えないゆえに心変わりは致し方ないかもしれないと覚悟はしてる。

少しだけ。

でも、そうなってほしくないから、私こそ頑張らねばならないのだ。

うっかり、互いの気持ちのボタンを掛け違えないように。

そういえば、二ノ宮の好みのタイプってどんな子だろう。

芸能人の話でも振って、さりげなく聞いてみようかなと口を開いた時だ。


「おーう、ハヨー」


だるそうに歩きながら、䋝田先輩が別の道からやって来て合流した。


「おはようございます」

「はよっす」


私たちが挨拶を返すと、なぜか先輩が訝しげに目を細める。


「なんか、仲良さげじゃね?」

「えっ」


突然、怪しまれて私は一瞬息を止めた。