「また、恥ずかしいことをさらっと……」


頬が熱を持つのを感じつつ、二ノ宮の甘い言葉に戸惑っていると、彼は小さく笑う。


「ん、前よりぎこちなさがなくなってきたな」


あ、それは嬉しいかも。

実は、修学旅行での告白以来、二ノ宮と会話すると緊張してしまい、ぎこちなくなってしまっていたのだ。

こうして2人だけで話すならまだマシだけど、他に人がいると特にうまくできなくなる。

付き合っている方がやりやすいのではと思うことも多々あるけれど、やはり部内恋愛禁止の掟がある以上は仕方ないことだった。

それでも、二ノ宮の言うとおり、最近は修学旅行直後に比べると自然に対応できていると自分でも思う。

こんな風に彼と2人の時は、以前とは違い気持ちを押し殺したりしなくていいので、その辺りは慣れてきた気もしていた。


「まあ、それはさておき、アピールできるときにしてかないと、誰かに掻っ攫われるの困るからさ」


いや、そんな心配しなくても大丈夫だと思うけど。

というか、私にちょっかい出す人なんて、現状、䋝田先輩くらいだ。

しかも、あれはからかい半分という感じだし危機を感じる相手ではないだろう。