好き。

二ノ宮が、好き。


例え、彼が誰を好きでも

彼を想うことをやめられないほどに。


「んー、酒はないか」


零した先生の声に隠すように。


「桃原」


二ノ宮が、囁き声で私を呼んだ。

彼の息遣いと体温を感じながら、勇気を出してゆっくりと顔を上げると、暗い布団の中、目の前には真剣な二ノ宮の顔があって。

その顔が、なぜか


「に、のみ……」


近づいてきて。


「や」


その名を呼び終えた直後。

彼の薄く、形のいい唇が

緊張で乾いている私の唇に、


触れた。